目次
概要
この投稿では、家庭向けメッシュWi-FiおよびEasyMeshにおける無線バックホールと有線バックホールとは何かを図解で紹介します。
投稿で使う用語、略語
クライアント
- PCやスマホなどの端末
ノード
- メッシュを構成するWi-Fiアクセスポイント(Wi-Fi AP、メッシュノード)
バックホール
- Backhaul
- LANにおいては主に通信で利用する「回線網」のこと。回線網は有線式と無線式がある。
イーサネット
- Ethernet。
- PCや通信器機を有線接続するための通信規格。LANケーブルもこの規格の一つ。
有線バックホール
- Wireline backhaul。
- イーサネットバックホールと同義。
イーサネットバックホール
- Ethernet Backhaul。
- イーサネット(有線LANの通信規格)を使った有線の通信回線網のこと。
- ノード間の通信の安定性を向上させます。
無線バックホール
- Wireless backhaul。
- Wi-Fiバックホールと同義。
Wi-Fiバックホール
- Wi-Fi Backhaul。
- Wi-Fiを使った無線の通信回線網のこと。
Wi-Fi
- 読み方「わいふぁい」。
- 無線通信技術(無線LAN)に関するWi-Fi Allianceの登録商標。
- Wi-Fi Allianceの認証を受けた無線LAN製品のみが、製品名に「Wi-Fi」を冠したり、製品パッケージに「Wi-Fi CERTIFIED」ロゴを使用することができる。
- Wi-Fi認証製品であれば、異なるメーカーの器機間での相互接続性が保証される。
Wi-Fiアライアンス
- Wi-Fi Alliance。
- 無線LAN製品の世界中での普及促進を図ることを目的とした業界団体。
メッシュWi-FiとはWi-Fi範囲を拡張する仕組み
無線・有線バックホールの説明の前に、メッシュWi-Fiについて簡単に触れておきます。
スマホやパソコンなどのクライアントデバイスがWi-Fi(無線)で通信をおこなうには、Wi-Fiアクセスポイント(Wi-Fi AP)に接続する必要があります。
Wi-Fi APから離れると電波が弱くなり通信が不安定になります。それを解決する技術が「メッシュWi-Fi」です。
メッシュWi-Fiは一つの親ノードWi-Fi APと、複数の子ノードWi-Fi APで構成されメッシュ(網目)状のネットワークを構築します。
複数のWi-Fi APを用いてWi-Fiの範囲を拡張することができます。
メッシュWi-Fiの規格にはメーカー独自方式とEasyMesh方式がある
メッシュWi-Fiの規格にはメーカー独自方式とEasyMesh方式があります。
メーカー独自方式の場合、同一メーカーの対応器機間でのみでメッシュWi-Fiを構築できます。
Wi-Fi EasyMesh方式では、メーカーを問わずメッシュWi-Fiを構築できます。
Wi-Fi EasyMeshは、Wi-Fiアライアンスが策定した標準規格です。
図解 有線バックホールとは
メッシュWi-Fiネットワークを構成するノードをネットワークにLANケーブルで接続(有線接続)することで、ノード同士は有線による通信をおこなうことができます。
この有線による通信回線網を有線バックホールといいます。
クライアントはノードのWi-Fiを適切に受信できる範囲にあれば、ノード間の電波状況に依存せず、安定した通信をおこなえます。
図解 無線バックホールとは
メッシュWi-Fiネットワークを構成するノード同士はWi-Fiで通信をおこなうことができます。
このWi-Fiによる通信回線網を無線バックホールといいます。
ノードは、いずれかのノードと通信可能な範囲に設置する必要があります。
ノード間に電波を遮蔽するコンクリートなどがあったり、距離が離れすぎた場合、ノード間の通信が不安定になったり遮断されます。そのノードにWi-Fi接続したクライアントも同様の事態になります。
図解 有線バックホール接続を利用する場面
家の1階と2階がコンクリートで仕切られ、2階にあるWi-Fi APのWi-Fi電波がコンクリートで遮断されて1階まで届かないとします。
このような環境下で1階でWi-Fiを利用可能にするためには、電波を遮断する構造物に影響されない有線バックホール接続でのメッシュWi-Fi構築が有用です。
メリット
- ノード間はLANケーブルで通信するので、ノード間が電波を遮断するコンクリートなどの壁で仕切られたり、ノード間の距離が遠すぎて無線バックホール接続できない環境で利用できる。
- ノードにWi-Fi接続したクライアントの通信の安定性、速度が向上する。
有線バックホールでメッシュWi-Fiを構築する方法
有線バックホールでメッシュWi-Fiを構築するには、ノード(メッシュWi-Fiルーターやアクセスポイント)がメッシュWi-Fiに対応しているだけでなく、有線バックホール接続(有線LAN接続)にも対応している必要があります。
メッシュWi-FiルーターにLANポートが付いていても有線バックホールに非対応の製品もあります。
対応可否は製品の説明書や仕様書をご確認ください。
LinksysのメッシュWi-FiルーターMR9000Xでの実際の構築手順は、こちらの投稿をご覧ください。
以上
家庭向けメッシュWi-Fiルーター ピックアップ
[TIPS]
- Wi-Fiルーター選びに迷ったら
「使用するWi-Fi機器の台数」、「電波を届かせたい範囲(家の面積、距離)」の2点を洗い出しておくと、製品を決めやすくなります。 - メッシュWi-Fiとは
メッシュWi-Fiとは複数のWi-Fiアクセスポイントを連携させてWi-Fiの接続範囲を広げる仕組みです。
メッシュ規格にはメーカー独自ものと、メーカーの垣根を越えてメッシュネットワークを構築できるWi-Fi世界共通規格「EasyMesh」があります。 - デュアルバンド、トライバンドとは
デュアル、トライとは使用できるバンド(電波の周波数帯)を指します。
多くのWi-Fi機器を接続したときに、トライバンドはデュアルバンドよりも速度が落ちにくいです。
デュアルバンドは2.4GHz帯と5GHz帯、トライバンドは「2.4GHz帯、5GHz帯、5GHz帯」または「2.4GHz帯、5GHz帯、6GHz帯」に対応。
有線バックホール(イーサネットバックホール)対応
発売日 2023年7月上旬
仕様概要
Wi-Fi 6
Wi-Fi EasyMesh
有線バックホール対応
無線LAN伝送速度規格値 5GHz 11ax 2401Mbps、2.4GHz 11ax 573Mbps
2020年7月22日発売
MR9000X自身をもう一台増設することでメッシュ構成にできます。またはLINKSYS Velopシリーズとの組合せでもメッシュ構成にできます。
接続端末数 25台
Wi-Fi接続範囲最大 185m2
AC3000 トライバンド メッシュWi-Fi 5 ルーター
Linksys Intelligent Mesh
[関連投稿]
発売日 2021年12月
仕様概要
Wi-Fi 6
AX5400 デュアルバンド メッシュWi-Fi 6 ルーター
Linksys Intelligent Mesh (i-Mesh)
有線バックホール対応
販路の違いで2つの型番があります
WX5400HPは一般販売用の型番、AM-AX5400HPはAmazon.co.jp専売用の型番
仕様概要
Wi-Fi 6(11ax)
無線LAN実効スループット 約1853Mbps
有線バックホール対応
Wi-Fi接続台数 36台
利用人数 12人
販路の違いで2つの型番があります
WX11000T12は一般販売用の型番、AM-AX11000T12はAmazon.co.jp専売用の型番
仕様概要
Wi-Fi 6E(11ax)、トライバンド、WAN10Gbpsポート
無線LAN実効スループット 約4050Mbps
有線バックホール対応
Wi-Fi接続台数 36台
利用人数 12人
CAT.6、CAT.6A、CAT.7のLANケーブル ピックアップ
「GIGAスクール構想」指定のCAT.6A準拠ケーブル
最大通信速度は最大10Gbps、伝送帯域は500MHz。
文部科学省「GIGAスクール構想」によると、「校内LAN配線」では「10Gbpsで接続可能なCat6A以上のLANケーブルの利用を指定」とされています。
家庭内でもルーターから各部屋へ配線する際や、1Gbpsより速いルーターや端末を利用する場合にも最適です。
CAT.6準拠
対応通信速度は1Gbps、伝送帯域は250MHz。同じ1Gbpsに対応したCAT.5eよりも伝送帯域が広くノイズに強いので、より安定した通信が可能です。
利用するデバイスのLAN機能が1Gbpsまでの対応であれば、CAT.6で充分です。
CAT.7準拠
最大通信速度は最大10Gbps、伝送帯域は600MHz。