目次
- 1 目次
- 2 概要
- 3 はじめに
- 4 結論 3つのポイント
- 5 Dellの資料「Dell Latitude Displays Technologies White Paper(PDF)」によるとWVAパネルとは
- 6 WVAパネルの視野角は水平垂直160度であり、178度ではない
- 7 Inspiron 3000番台と5000番台の液晶パネルの種類と視野角を調べてみました
- 8 2020年05月26日当時の筆者の見解
- 9 普及価格帯でオフィスアプリに最適なDellノートPC Inspironシリーズ ピックアップ
- 10 DellのPCモニターを各シリーズから1機種ずつピックアップ
- 11 DellのPCモニターに関する投稿一覧
- 12 最適なPC・モニターの選び方
- 13 参考
概要
この投稿ではDellのノートパソコンの液晶ディスプレイで採用されている「WVA」(MVAではない)とは何なのかを調べた結果、見解を紹介します。
Inspiron 3000番台、5000番台で採用されているパネルも紹介します。
はじめに
液晶ディスプレイは、液晶パネルの駆動方式によって視野角が異なります。
広視野角パネルの駆動方式にはIPSの他に廉価なVA、MVAやADSなどがあります。
視野角の狭いパネルの駆動方式にはTNがあります。
そして、DELLのノートパソコンの商品ページや仕様書ではディスプレイのパネル種類に「広い視野角(WVA)」という表記があります。
一見すると駆動方式がVA方式の派生パネルのように感じられます。しかしVA方式の派生パネルにはMVA、MVA-PREMIUM、AMVAというものはありますがWVAというのは見つけられませんでした。
結論 3つのポイント
Dellノートパソコンの液晶ディスプレイのWVAパネルとは
- WVAの語源は「広い視野角」を意味する「Wide Viewing Angle」の頭文字を繋げた頭字語である。
- 様々なLCD供給業者から調達しているIPSパネルを総称するDellの独自用語である。
- 実態はIPSパネルだが視野角は水平垂直160度である(178度ではない)。
ディスプレイつながりのDell用語として、ノートPC Inspironのディスプレイで選択できるDell定義の解像度に「QHD+」「FHD+」があります。
Dell定義の「QHD+」とはWQXGA(2560 x 1600)、「FHD+」とはWUXGA(1920×1200)のことです。
「QHD+」「FHD+」の解像度の定義はメーカーによって異なりますが、WQXGA(2560 x 1600)とWUXGA(1920×1200)の定義はメーカー共通です。
2021年11月30日 情報追加・修正しました
この投稿を書いた2020年05月26日当時は、製品仕様書を元にした筆者の推測と見解でした。
その後、2021年4月24日に新たな情報としてDell Technologiesから、ノートPC Latitudeシリーズで採用しているディスプレイについて解説した資料が公開されました。WVAパネルについての情報が一段と詳しく記載されていました。
資料名は「Dell Latitude Displays Technologies White Paper(PDF)」です。後ほど該当箇所の引用文を紹介します。
それをふまえて「WVA」に関する推測、見解を修正しました。
Dellの資料「Dell Latitude Displays Technologies White Paper(PDF)」によるとWVAパネルとは
[引用]
The Angles – TN vs. WVA Panels
Viewing Angle in a display is mostly determined by the choice in LCD technology.
There are two different types of displays you might see in Dell laptop nomenclature:
TN (Twisted Nematic): A traditional panel designed for head-on viewing which uses a “nematic” liquid crystal that sits between two sheets of polarized glass.
TN panels have the lowest input lag with around one millisecond and generally have higher refresh rates versus other panels.
WVA (Wide Viewing Angle): a type of panel that has superior viewing angles so you can view these panels from extreme viewpoints and retain excellent color reproduction.
These panels are superior for viewing at the side or other perspectives vs. TN.
Another benefit offered from WVA panels is high color gamut providing slightly sharper images.
In-Plane Switching, or IPS is a term created by different LCD suppliers.
IPS is a type of WVA panel.
At Dell, we use these types of panels from many different suppliers, therefore we use the term WVA.
At Dell, we use a mix of both TN and WVA depending on the product.
[出典]
Dell Latitude Displays Technologies White Paper(PDF). Saturday, April 24, 2021
https://www.delltechnologies.com/asset/en-us/products/laptops-and-2-in-1s/industry-market/latitude-displays-whitepaper.pdf
(PDF、Dell TechnologiesのWebサイト)
5ページ目
下記は主要な箇所を自動翻訳で日本語に訳したものです。
- WVAの語源は「広い視野角」を意味する「Wide Viewing Angle」の頭文字を繋げた頭字語である。
- IPSは様々なLCD供給業者によって作られた用語である。
- IPSはWVAパネルの種類の一つである。
- Dellは様々なLCD供給業者からこれらのタイプのパネルを調達している。
- したがってDellではWVAという用語を使っている。
その他読み取れること
- WVAをTNパネルと比較して優位性をアピールしているのでWVAはTNパネルではない。
- WVA自体は液晶パネルの駆動方式のことではない(駆動方式はIPSである)。
WVAパネルの視野角は水平垂直160度であり、178度ではない
近年のPCモニターが採用しているIPSパネルの視野角は178度が主流です。
WVAパネルを採用しているDELLノートPC Inspiron 13 5300の視野角を仕様書で確認したところ160度でした。
また、IPSを採用しているInspiron 14 5485の視野角も160度です。
Dell InspironシリーズではWVAだけでなくIPSでも視野角が狭い種類のIPS製品を採用していることになります。
パネルコストが抑えられて、PC自体の低価格化にも貢献しているのでしょう。
デスクでの作業時は、画面が広く高解像度の外部モニターに接続して作業すると生産性が向上します。
発売日 2021年8月20日
4K UHD 3840x2160、27インチ、IPS
[映像入力] 1x USB-C(DP1.4 Alt Mode)、2x HDMI2.0(HDCP 2.3 & 1.4)
[スタンド機能] 縦回転、高さ、左右回転、前後傾き
[他] VESA100mm、スピーカー、USB PD対応(最大65W)
Inspiron 3000番台と5000番台の液晶パネルの種類と視野角を調べてみました
2020年5月時点の情報です。
Inspiron 3000番台の液晶パネルの駆動方式は視野角の狭いTN。
Inspiron 5000番台は機種によってIPS、WVA、広視野角(IPSでもWVAでもない)という結果でした。
HD(1366x768)の場合は基本的にTNパネル。フルHD(1920x1080)の場合は広視野角パネルとは限らずTNパネルの場合もあります。
商品の販売ページには広視野角パネルを使用している場合はそれを明記してありますが、記載が無い場合は視野角の狭いTNパネルだと判断した方が良さそうです。
Inspiron 5機種の液晶パネルの種類と視野角
下記の表の値はDellサポートページで公開されている仕様書からの引用です。
パネル種類にはパネル駆動方式が明記されている製品もあれば、そうでない製品もあります。
可視角度とは視野角のことです。
IPSパネルなのに視野角がTNと同じ狭い視野角であったりという場合もあります。
型番 | 解像度 | パネル種類 | 水平可視角度 | 垂直可視角度 | 筆者補足 |
---|---|---|---|---|---|
Inspiron 15 3593 | FHD | TN(ツイステッド ネマチック) | 左:40度 右:40度 | 上:10度 下:30度 | |
Inspiron 15 5593 | FHD | IPS(イン プレーン スイッチング) | 左:40度 右:40度 | 上:10度 下:30度 | 可視角度がTNと同じですが引用ミスではない。 |
Inspiron 14 5485 | FHD | インプレーン スイッチング(IPS) | +/-80度 | +/-80度 | |
Inspiron 13 5300 | FHD | 細枠(広い視野角(WVA)) | 80 +/-度 | 80 +/-度 | |
Inspiron 13 5391 | FHD | 広視野角 | +/-80度 | +/-80度 | 単に広視野角のみとある。 |
Inspiron 13 5310 | QHD+ またはFHD+ | 広視野角(WVA) | 80 +/-度 | 80 +/-度 | QHD+はWQXGA(2560 x 1600)。FHD+はWUXGA(1920x1200)のこと。 |
表の変更履歴
- 2021年12月01日 「New Inspiron 13」シリーズの「Inspiron 13 5310」を追加。「New Inspiron 13」シリーズの名称は製品マニュアルではNewが外れて「Inspiron 13 5310」となります。
製品マニュアルでディスプレイの仕様を確認できます
製品販売ページでディスプレイの仕様が記載されていない場合、Dell製品サポートページで公開されている製品マニュアルで確認することができます(ただし機種によっては公開されていません)。
液晶パネルの種類、有効エリアサイズ、解像度、輝度、メガピクセル、色域、PPI、コントラスト比、レンポンスタイム、リフレッシュレート、ピクセルピッチ、非光沢・光沢など。
- [出典] Dell製品サポート マニュアルのHTMLページ版
- Inspiron 15 3593 セットアップと仕様 → ディスプレイ
- Inspiron 15 5593 セットアップと仕様 → ディスプレイ
- Inspiron 14 5485 セットアップと仕様 → ディスプレイ
- Inspiron 13 5300 セットアップと仕様 → ディスプレイ
- Inspiron 13 5391 セットアップと仕様 → ディスプレイ
- Inspiron 13 5310 セットアップと仕様 → ディスプレイ
2020年05月26日当時の筆者の見解
筆者の見解となりますが、WVAとは単に「広い視野角」を英語で表現した 「Wide Viewing Angle」の頭文字をとったもので駆動方式のことではないと捉えています。
駆動方式がIPS、MVA、ADSなどの広視野角パネルを採用するが、どの駆動方式にするかは仕入れ状況によって変動するモデルの場合、パネルの種類にWVAと記載しているのではないでしょうか。
WVAの視野角は水平垂直160度です
DellのノートパソコンInspironでIPS、MVA、TNが採用されている機種とその視野角を仕様書で調べた結果、WVAの視野角は水平垂直160度で、IPSパネルと記載のある製品と同じでした。
ただしDellが採用しているIPSパネルの視野角は狭い部類です。IPSパネルには種類があり視野角も異なります。近年のPCモニターが採用しているIPSパネルの視野角は178度が主流です。
筆者は、広視野角パネルを採用したノートパソコンを探していた際、WVAの視野角が分からず躊躇していましたが、安心して選択肢に入れられます。
以上
普及価格帯でオフィスアプリに最適なDellノートPC Inspironシリーズ ピックアップ
CPUはIntel Core i5またはAMD Ryzen 5以上がおすすめ
マイクロソフトのエクセルやワード、写真や画像加工・編集、テレビ会議アプリなどの複数のアプリを同時にストレス無く稼働させるならIntel Core i5またはAMD Ryzen 5以上をお勧めします。
Intel Core iシリーズのCPUは性能が高い順にCore i7、i5、i3となります(数値が大きい方が性能が高い)。
それらに同等するAMDのCPUはそれぞれRyzen 7、5、3となります。
13インチ (約1.2kg前後)
モバイルに最適な軽量で場所をとらない小さなフットプリント。
13.3インチのディスプレイの解像度はFHD(1920x1080)の他に、さらに高解像度のFHD+(WUXGA 1920×1200)、QHD+(WQXGA 2560 x 1600)を搭載したモデルを選べます。
14インチ (1.6kg前後)
モバイルと作業の快適性のバランスがとれたサイズ。
14インチのディスプレイの解像度はFHD(1920x1080)の他に、さらに高解像度のFHD+(WUXGA 1920×1200)を搭載したモデルを選べます。
15.6インチ (1.75kg前後)
16インチ (1.9 kg前後)
本体幅は従来の15.6インチFHD(1920x1080)モデルと同じでありながら、画面面積が広くなり解像度もFHD+(WUXGA 1920×1200)にアップしました。
DellのPCモニターを各シリーズから1機種ずつピックアップ
対象シリーズ:SE、S、U、UP、ゲーミング向けS、G、Alienware。
【SE】コスト重視。発色控えめのエントリーモデル
発売日 2024年8月20日
FHD 1920x1080/75Hz/VA/27インチ/水平視野角178°/垂直視野角178°/300cd/m²/3000:1/HDMI x1、D-Sub15ピン x1/72% NTSC (CIE 1931)、83% NTSC (CIE 1976)/傾き調整/VESA100mm
【S】ご家庭での作業の生産性、エンターテインメント環境を向上
発売日 2021年8月20日
4K UHD 3840x2160、27インチ、IPS
[映像入力] 1x USB-C(DP1.4 Alt Mode)、2x HDMI2.0(HDCP 2.3 & 1.4)
[スタンド機能] 縦回転、高さ、左右回転、前後傾き
[他] VESA100mm、スピーカー、USB PD対応(最大65W)
【U】Sよりも広い色域の表示に対応
- 工場出荷時の色補正が施されており、工場出荷時に完全なキャリブレーション レポートが付属。
- 色調整で色空間名(sRGBなど)、色温度をケルビン値(5000K、6500Kなど)で設定可能。
発売日 2022年2月16日
4K UHD 3840x2160@60 Hz、27インチ、IPS Black
[映像入力] 1x HDMI(HDCP 2.2)、1x DP1.4(HDCP 2.2)、USB-Cアップストリーム / 電源供給あり DisplayPort 1.4 Altモード (最大出力90W、HDCP 2.2)
[映像出力] 1x DP
[スタンド機能] 縦回転、高さ、左右回転、前後傾き
[色域] 100% Rec 709, 100% sRGB, 98% DCI-P3
[水平視野角] 178°
[垂直視野角] 178°
[他] VESA100mm、LAN(RJ-45)、KVM
【UP】キャリブレーション対応。複数モニターの色表示を統一する制作環境に最適
- 測色計対応(キャリブレーション)。Uシリーズよりもさらに厳密な色調整が可能。
- 対応する色域規格が多く、カバー率が高い。AdobeRGB、DCI-P3、sRGB、Rec.709、Rec.2020。
- 工場出荷時の色補正が施されており、工場出荷時に完全なキャリブレーション レポートが付属。
発売日 2020年2月17日
CalMAN対応
100%のAdobe RGB、80% BT.2020および98% DCI-P3(DCI-P3の色空間により、sRGBよりも優れた色再現性を実現)
【ゲーミング向けS】ゲーミングスタンダード
発売日 2020年8月21日
FHD 1920x1080/144Hz/VA/27インチ/水平視野角178°/垂直視野角178°/350cd/m²/3000:1/HDMI x2、DisplayPort x1/72% (CIE 1931), 72% NTSC, 83% (CIE 1976)/高さ/前後傾き/VESA100mm
【G】ゲーミングスタンダード
発売日 2024年9月
QHD 2560x1440/180Hz/Fast IPS/27インチ/水平視野角178°/垂直視野角178°/応答時間4ms GTGレベル1、2ms GTGレベル2、1ms GTGレベル3、5ms GTGオフモード/400cd/m²/1000:1/1000:1/HDMI2.1 x1、DisplayPort1.4 x1/99%sRGB(CIE1931)/前後傾き/VESA100mm
【Alienware】ゲーミングハイエンド
発売日 2022年9月9日
QHD 2560x1440/Fast IPS/27インチ/水平視野角178°/垂直視野角178°/DisplayPort(OC) 180 Hz, DisplayPort 165Hz, HDMI 144Hz/600 cd/m²/1000:1/HDMI x1、DisplayPort1.4 x2/100% sRGB, 95% DCI-P3/縦回転/高さ/左右旋回/前後傾き/VESA100mm
パネルはIPS、VA、TNのどれが良い?
低価格重視で選ぶ場合でも、目の疲れを軽減し生産性を向上させるならば、視野角の広いIPSまたはVAパネルを搭載したモデルをおすすめします。
TNパネルは上下左右の視野角が狭く、単一色を表示したときにグラデーションがかかったような表示となります。
DellのPCモニターに関する投稿一覧
最適なPC・モニターの選び方
参考
Dell Latitude Displays Technologies White Paper(PDF). Saturday, April 24, 2021(PDF、Dell TechnologiesのWebサイト)
ノートPC Latitudeの液晶ディスプレイで使われているWVAに関するDellの説明が記載されています。
DELLの製品サポートページ(DellのWebサイト)
各製品のディスプレイ仕様詳細、分解方法の図解などが公開されています。メモリ、HDDの交換方法だけでなくコイン型電池、ファンなどの全パーツの取り外し方まで。
FPD用語辞典 | IPSモード/VAモード(日経XTECHのWebサイト)